第4回素粒子原子核研究計画委員会議事録

日時:平成14年5月17日(金)10:00〜

場所:KEK 3号館1階会議室

出席:
所内委員:
神谷、岡田、藤井、吉村、宮武
所外委員:
金(筑波大)、中家(京大)、山中(阪大)、延與(理研)、櫻井(東大)、
田村(東北大)、日笠(東北大)、初田(東大)、野尻(京大)、
高橋(宇宙科学研)
非委員:
山田(所長)、小林、中村、野村、岡、他 素核研運協メンバー
今里(招請)

1. 前回議事録案の承認
前回の議事録案が承認された。最終版については本委員会のページ参照の こと。

2. 報告
2.1 原子核理論の現状と展望
肥山氏より、原子核理論の現状と展望について、報告があった。少数多体系 の普遍的な3体、4体の理論を使ったアプローチという切り口で、ハイパー 核理論をとらえるもので、報告者の JHF に対する期待と熱意が良く伝わって きた。目指すところは、T=0 における低密度極限から高密度にいたる核物質 の物理である。ポイントは高密度ではストレンジネスが重要となること。 高密度状態は、中性子星への応用を持ち、重イオン衝突で調べられる。いずれ JHF で重イオン衝突が可能となる前段階の足場固めとして、
を目的として、多体系-->素過程という、通常と逆のアプローチで、相互作用 ハミルトニアンの決定をめざす。基本的な手法は、理論としては、Meson Exchange (ME) と Constituent Quark Model (CQM) の2つのモデル、実験と しては、ハイパー核の分光学(特に数 keV の分解能を持つγ線分光学)であ る。ΛN の l・s 力は、CQM << ME となる。これは、CQM の場合、A-l・s と S-l・s の寄与が同程度あり相殺するが、ME の場合は、A-l・s の寄与が少ない ためである。CQM では、ΛN の l・s 力は、NN の l・s 力の 1/20‾1/30 とな ることも分かっている。これは、例えば、BNL-E930、BNL0E929 の Be9Λ や C13Λについての結果で検証されている。ΣN スピン軌道力の大きさ、 ΛΛスピン軌道力の大きさは、新たな疑問として残るが、これらはいずれも JHF の課題である。
核子+ハイペロン多体系の特徴の理解については、Λの注入による原子核の 縮みがあげられる。パウリの排他律が働かないこと、ΛNが引力であることが 原因と考えられる。実験的検証には、電気4重極遷移確率(B(E2):r^4 に比 例)を測定することになる。例えば、Li7Λ では、Li6 に比べ理論では 22%、 縮むと予想されているが、これは、実験(KEK E419)の 19% と良くあって いる。「Λを入れると常に縮むのか?」という問いに対しては、A >= 11 の 安定原子核の基底状態ではほとんど縮まないと予想されており、これらの 検証は JHF の重要な課題である。
さらにΛを加えていった極限として中性子星の内部があり、この理解のために は、出発点となるΛΛ相互作用、YY相互作用の理解が不可欠である。これに 関しては、KEK-E373 のナガライベント(He6ΛΛ)、デマチヤナギイベン ト(Be10ΛΛ)など、最近の画期的な実験結果があり、その理論的な解析か ら、ΛΛ相互作用が引力で、binding energy が約 1MeV であること、また、 デマチヤナギが 2^+ であることなどが分かってきた。JHF では、YY 散乱で ΞN、ΣΣ相互作用を調べる可能性もあるが、S=-2 のハイパー核をどんどん 作ってその分光学をやることが重要。JHF では、予言との一致だけでなく、 特に、A<=5 では合わないことを期待している。これは、今の理論には、 ΛΛ-ΞN 変換が考慮されていないが、A<=5 では、S シェルに空席があるの で、この寄与があると考えられるからである。JHF でずれが測定されれば、 ΛΛ-ΞN 相互作用の大きさを決めることができる。ΛN-ΣN 結合を調べるに は、YN 散乱とともに、例えば、He4Λ -> He3 + π^+ + n などの weak decay が有効であり、JHF はそれらを通して、核内でのΣの役割を暴きだす と期待される。

報告の詳しい内容については
トラペのコピー:http://www-conf.kek.jp/ipns-rpc/slides/20020517/NPbyHiyama.pdf
を見よ。

報告の後、以下のような質議が行われた。

Q:今日説明のあった手法以外の手法については?
A:今日説明した3体あるいは4体法では、A‾10 が限界である。それ以上になると、シェル模型、ハートリー・ホックなどを使う事になる。
Q:それらとの接点はあるのか?
A:シェル模型を軽い方に下ろしていく試みはある。
Q:実験では重いところはどうするのか?
A:P シェル(酸素)までが今の限界。JHF ではさらに上に行ける。
Q:fundamental なところを知ろうとするには軽い方が良いのでは?
A:基本的にはそうだが、odd state の interaction(中性子星には必要)を知ろうとすると、P 軌道のΛが束縛されるような重い核を調べる必要がある。
Q:中性子星のサイズにはどういう影響があるか?
A:多分縮まない。
C:サイズはそういう事で決まるのではないのでは?
C:conventional には縮む(N->Λ崩壊)。
C:密度は増えないと言う意味だろう。
Q:JHF で重イオンもやって、全ての足場を固めたらどうか?
A:分からない事は話したくなかったから話さなかったが、もちろん、やってほしい。
Q:なぜΛΛは弱いのか?
A:クォークレベルでの理解は、始ったばかり。
Q:l・s 力が、YN の場合、対称と非対称で相殺するのはトリビアルか?
A:それほどトリビアルではない。
C:CQM では Meson Exchange に比べて、非対称部分に寄与するものが多いという事だ。Meson Exchange では、vector か tensor くらいだ。同様の考えで、ΛΛが説明できるかどうかは重大問題だ。
Q:B(E2) への Y_2 の影響は大丈夫か?
A:大丈夫。

2.2 素粒子理論の現状と展望
山口氏より、素粒子理論の現状と展望について報告があった。素粒子理論の 目標を「基本的な物理法則を明らかにし、統一的な世界像を構築すること」 と定義し、ボトムアップアプローチの観点から、素粒子物理学を鳥瞰するもの であった。
現在の素粒子物理学の到達点は、標準模型に総括され、その検証は、最後の 詰めの段階にあるといえる。例えば、Z の精密測定(‾1/1000レベル)は、 Z がゲージボソンであることを量子レベルで検証した。これは、標準模型の 最も重要な柱であるゲージ原理を確立した。これは、標準模型のラグランジ アンの内、ゲージセクターを確立したことに対応する。しかし、もう1つの 柱である自発的対称性の破れを引き起こす実体(ヒッグスセクター)につい ては、未検証のままである。Z の場合の歴史が繰り返しハドロンコライダー (Tevatron Run II、LHC)でヒッグスが発見され、レプトンコライダー (JLC?)でその精密測定が行われることが期待される。一方、クォーク、 レプトンの世代(フレーバー)構造の検証は、LEP でのνカウンティングに よる世代数の決定の後、特に、クォークセクターに関するCP位相、世代間 混合について、近年、B ファクトリー実験により着実に進んでいるが、これ には、JHF での K^+ --> π^+νν、K_L --> π^0ννなどの稀崩壊実験の 寄与も期待される。これらは、湯川セクターの検証である。標準模型では、 ニュートリノは質量を持たず、故に混合もない(レプトンフレーバーの保 存)。ν振動は、標準模型が拡張されなければならないことを示した。 しかし、標準模型におけるレプトンフレーバー保存には、標準模型の根幹に 関わる深い理論的な理由ない。
標準模型は、しかし、統一的世界像からは程遠い。ゲージ構造をとっても、 標準模型のゲージ群の起源はもとより、力の大きさが、g3 >> g2 >> g1 で あること、電子と陽子の電荷が、符号が反対で大きさが正確に同じである こと、m_W << m_pl であることなど全く説明できない。世代(フレーバー) 構造についていえば、何故3世代あるのか、何故 m_t >> m_c >> m_u な のか、何故ニュートリノの質量は小さいのか、何故、クォークの世代間混合 は小さく、ニュートリノの世代間混合は大きいのかについても何も答えない。 これらの疑問は、いずれも、我々を新しいパラダイムに導くものと期待され る。これらの疑問の内、電弱スケールの起源(m_W << m_pl)の問題は、 「自然さの問題」とも呼ばれ、スカラー場の質量スケールが理論の短距離構 造に非常に敏感であることに起因する問題である。その解決策としては、テク ニカラー (TC)、超対称性 (SUSY)、Large Extra Dimension (LED) が知られ ている。TC には現実的なモデルがない。一方、SUSY では、スカラーの2次 発散が相殺し、自然さの問題が解消するとともに、ゲージ結合定数の統一など のボーナスもある。SUSY ならは、エネルギーフロンティア実験において、 まずヒッグス、超対称粒子が見つかり、その研究から、SUSY の破れとその 伝搬機構が明らかになり、High Scale での物理が見えてくるであろう。 一方、LED では、基本スケールが ‾TeV なのでもとより自然さの問題は存在 しない。エネルギーフロンティアで KK モード、ブラックホール (BH) 生成、 あるいはストリング励起状態の発見などが期待できる。いずれにせよ、何が 見つかるかで今後の素粒子物理の進路が変わるであろう。
他の疑問に目をやると、大統一 (GUT) は、電荷の量子化、3つ力の大きさを 定性的に説明し、SUSY GUT においては、電弱スケールでの結合定数を定量的 にも説明する。しかし、フレーバー構造については、素朴な GUT ではフェル ミオン質量、陽子寿命の予言などに問題がある。
フレーバー構造には深い理由があると信じられているが、現状では、その起 源については、そのスケールも含め、確たることは何も分かっていない。 陽子崩壊、ν質量および混合などの high E probe (M >‾ 10^14 GeV)、 LFV、K/B における標準模型からのずれ、μ、e、n の EDM などの low E probe (M >‾ TeV) など、実験的なインプットが強く望まれている。 ν混合における、θ_{23}、θ_{13} (JHF)、θ_{12} (KamLAND) 測定、 また、μ-e 変換 (JHF) の実験は、重要な手がかりを与えるであろう。

報告の詳しい内容については
トラペのコピー:http://www-conf.kek.jp/ipns-rpc/slides/20020517/EPbyYamaguchi.pdf
を見よ。

報告の後、以下のような質議が行われた。
Q:JHF の位置付けはどうなっているのか?
A:low E probe は、high E probe の結果をえて初めて大きな意味を持つ。
Q:high E だけでは見えないものがあるのか?
A:両方必要だ。
Q:black hole 生成が今取り上げられる理由は何か?
A:large extra dimension のせいで、短距離で重力が強くなり、生成断面積が大きくなるから。
Q:black hole は危険ではないのか?
A:寿命が短く、問題ない。
Q:陽子崩壊について、リミットを1オーダーあげる事の意味は?
A:SUSY GUT なら明日見つかっても不思議はない。ただ、p -> KX はどこにあるか不明。
p->πe^+ は、はっきりしているが、Λ_{GUT} > 2×10^{16} だと、 ハイパー神岡でも無理。
Q:そこがクリティカルなところだ。Λ_{GUT} ‾ 2×10^{16} なのか、それより大きいのかは、どれくらい確かなのか?
A:GUT scale での particle content によるので、正確なところは分からないと言うのがフェアーであろう。
Q:LHC で SUSY が見えた場合はどうか?
A:Λ_{GUT} までの外挿で、GUT scale の詳細を決めるのは難しい。ただし、ある種の GUT では、model の選択が可能という事だ。
Q:SUSY が見つからず、LFV も見つからない場合、理論屋はどうするのか?
A:M^*(new physics)と δ_{12} に対する制限が付くという事だ。
Q:LHC で見つからなかった場合、LFV が見えたら SUSY は死ぬのか?
A:死なない。
Q:Energy frontier で SUSY が見つかった場合の、low E の意義は?
A:flavor 物理が constraint をつけるのに重要。
C:Gauge Mediated SUSY Breaking (flavor blind で mediation のスケールが低い) でもない限り、何らかの effect が見えるはず。
Q:KK モードはどう KK モードと言えるのか?
A:特徴的な E_γ spectrum。
Q:KK emission は原子核でできないか?
A:一番効くのがエネルギーなので難しい。


2.3 JHF 計画の現状
大強度陽子加速器計画(統合計画)の現状について永宮氏から報告があった。 報告は、施設の概要に関する説明に始った。統合計画は、既存の施設の10倍 のビーム強度を実現し、物質・生命科学、素粒子・原子核研究、核変換実験の ための、パワー・フロンティア施設を提供する。
統合計画は、1998 年秋に始った、KEK と JAERI 間での、大型ハドロン計画 と、中性子科学研究計画の統合可能性の議論に端を発し、1999 年春の MOU にて本格化し、同年の国際レビュー、関連主要委員会での議論、大蔵省への 文部省・科技庁共同提案、第3者評価などを経て、2001 年 4 月には、プロ ジェクトチームの正式発足、Phase 1 部分(原研サイドの 400 MeV 常伝導 リニアック、3 GeV シンクロトロン、および物質・生命科学実験施設、KEK サイドの 50(40) GeV シンクロトロン、および K 実験施設の1部)の建設着 手に至った。その後、自治体の認可を経るとともに、組織整備が進んだ。ま た、第1回利用者協議会、第1回国際アドバイザリー委員会 (IAC) も開かれ た。すでに、中性子実験装置計画検討委員会が立ち上がっており、現在、素 粒子・原子核実験施設検討委員会が立ち上がろうとしている。
建設は6年を要し、2006 年度末には 50 GeV がビームを出し (当初設計強度 の ‾1% 程度か?)、‾10% になった時点で 3GeV の共同利用を開始する(素 核実験はもっと弱い段階で開始可能)。
現在までの予算状況は、Phase 1 (=1,335億円) の内、JFY01 で、KEK (7.85 億)、原研 (65.80億) (債務負担行為としては、KEK (129.40億)、原研 (120.24億))、JFY02 で、KEK (128.07億)、原研 (76.03億) (債務負担行為 としては、原研 (326.84億)) となっている。
Phase 2 のニュートリノ (140‾150億) を前倒しして FY03 あたりで開始し たいと考えているが、これには再度第3者レビューが必要。 原研サイドで、核変換についても前倒ししたいという動きもある。 全体として、計画はほぼスケジュール通り遂行されているが、年あたり予算 のさらなる増額が望まれる。Phase 1 では、fly wheel が含まれず、50 GeV PS は、当初、40 GeV 運転となる。実験室も1部が認められているに過ぎな いが、νについて、速い取り出しライン、3GeV との交差点近辺は工事をして おく。Phase 2 については、KEK としては、まず、ニュートリノを出す。

報告の詳しい内容については
トラペのコピー:http://www-conf.kek.jp/ipns-rpc/slides/20020517/JHFbyNagamiya.pdf
を見よ。

報告の後、以下のような質議が行われた。
Q:国際諮問委員会のレビューはどうなっているのか?
A:後で配付する。
Q:産業界へのメリットを訴える事で予算を得るような努力はしているのか? A:特に中性子について、産業応用フォーラム(約100社からなる)などで説明をしている。「中性子散乱をどう使ったら良いか」の教育が必要である。また、μにも応用はあるが、50 GeV にはなかなか応用がない。
Q:50 GeV は基礎科学ということで良いと思うが、νを押すのか?
A:Phase 1 は K、Phase 2 は ν。Phase 2 には核変換もあるが、問題も多いのでまずνということだ。
Q:この委員会にのぞむことは?
A:Phase 1、Phase 2 ともに、scientific に priority を up-to-date な形でまとめてほしい。世界のスタンダードに照らして整理してほしい。
Q:踏まえるべきものは?
A:もともとの proposal、国際評価委員会のレビュー。第3者レビューは情報程度と思ってほしい。
Q:実験費がないといわれているがどうするのか?
A:加速器ができれば、運転経費(100‾150億)でかなりまかなえるであろう。それまでは、大学とかでまとまって概算要求するなど努力してほしい。これは、独法化でよりやりやすくなるであろう。
Q:国際協力を利用できないのか?
A:νなどの場合、建設費の一部を国際協力でまかなう可能性はあるかもしれない。
Q:Phase2 で、νを分離して提案するとすると、νがおくれると Phase 2 全体がおくれるということにならないか?
A:Phase 2 を出す時点で、screening して1つにして出さないと通しにくい。νを通した後で次を考える。原研側が核変換が ready になった段階で出すことはあり得る。来年出てくることはないと思う。
Q:文科省は、2006 年末までにやるということで commit しているのか?
A:だれを指すかによるが、この計画に対しては熱意を持って取り組んでもらっている。ITER が出てくるとどうなるかは不明だが、サポートしてもらえると思う。
Q:primary p を使った実験は Phase 1 でできるか?
A:できるように準備中である。Phase 2 では確実である。
Q:Phase 1 のビーム強度は?
A:初めは 1%、次年度に 10%、2年めには full spec 近くに行くと期待している。
Q:そうなると、短期で成果の出る bread & butter physics が必要ということか?
A:この委員会で議論してもらいたい。
Q:K arena は世界でここだけだが、世界からの LOI はどういう状況か?
A:米国の場合、次の long range planning の時には考える出あろう。BNL には、ビームラインを一式持っていっても良いという人もいる。ヨーロッパは、GSI II 50 GeV は、pbar の物理、K の物理の人は日本に来る可能性がある。BNL、FNAL で rare decay をやっている人に来てもらう可能性もある。いずれにせよ、LOI が来てから出ないと分からない。
Q:アジア地区のユーザーはどうか?
A:韓国、中国にあるにはある。

3. 議論と作業
報告を聴いた後、どういう形でまとめるのか、また、それと関連して JHF での実験 については、どう分類して、それをだれがどう担当するか、作業内容、作業方法、 作業分担、作業日程などについて議論した。
必ずしも、時系列でなく、また出された意見を網羅したものでもないが、おおよそ 次のような意見が出された。

Q:答申の中身だが、JHF に絞るのか、それとも、エネルギーフロンティアなどについても、ページを割いて書くのか?
A:エネルギーフロンティア全てをカバーするのは、いずれやるにせよ、今は無理。
C:ただし、分野全体の中での JHF の位置付けはしなくては駄目。
C:エネルギーフロンティアについては Grand View の中で書けば良い。
C:何を書くかは、委員会の目的による。
Q:委員会の目的は?
A:PAC ではなく、大きい方針について scientific に決める(純科学的視点とユーザーの有無などの視点から)。
A:理念に関する提言をする。
C:評価は必要。
C:評価の基準をはっきりさせる事が重要。
C:Phase 1 と Phase 2 は一緒に書く。
Q:どんな形でまとめるのか?
A:素粒子・原子核各々について物理の Grand View その中で、JHF およびその他の計画の実験を位置付けること。つまり fact を書く事。
Q:その後はどうするのか?
A:優先順位をつける。
Q:何ごとに評価するのか?
A:実験のプログラムごと。
Q:評価基準をどうするのか?
A:当委員会の特徴を全面に出すのも悪くない。特徴ある基準で強引にやるのもいいのでは?
C:委員会の性格としては、科学的な判断を重視するという事だと思う。これは、素粒子、原子核各々の分野内では可能と思うが、その間ではどういう価値基準で評価するのか難しい。
Q:素粒子・原子核が方向が違う事を鮮明に書いたらどうか?それも1つの特徴をもった視点となりうる。
A:素粒子・原子核以外の他分野から見ると、素粒子と原子核は近い。外から見たときの一体感は必要。違いを書くにしても、全体としてくくれるという statement は必要。
C:永宮氏は全体としての priority が欲しいと言った。
C:永宮氏の希望を必ずしも入れなくても良い。
C:山田所長もそう言った。
C:山田所長は、「全会一致で優先順位がつく事は期待していない、開始時期の順番がつくならつくというところだと考えている。」と言った。
C:最終的には JHF という枠の中で全体としての優先順位がつけられると思う。
A:順位をつけるというのでなく、星の数にしたらどうか?
C:multi-dimensional な星の数。metric の取り方で、順番が変わるようにしておく。
C:その方が使いやすいだろう。
C:委員会としての metric はあって良い。
C:答申の中身としては
   全体のビジョン(Grand View)。
   原子核・素粒子の共通点、相違点。
   全体の中での位置、他計画との関係。
   星取り表(いくつかの項目/multi-dimensional)
  といったイメージか。

Q:実際の作業を始めるにあたって、グループ分けをどうするか?
A:施設で分けるのはどうか?その場合、テストビームも含めてだが。
C:そういう視点も重要だが、まずは物理。
C:物理と直交すると言うよりむしろ平行、束ねるのに役立つ。
C:あまり束ね過ぎると後で使えなくなる。
C:詳細を書くのは、第1期(Phase 1+Phase2)、第2期(重イオン、e Arena)については、最後に提言としてはどうか?
C:分担について、裏表方式は良い。
C:まず、各トピックスについて、リーダーを選んではどうか?

以上の議論を踏まえ、山中委員長の叩き台をもとにトピックス(グループ分け)を 整理した。山中試案にあった、エネルギーフロンティア、QGP(JHF での実験と 直接には関係しない)は、Grand View で触れる事とし、項目から削除。K&B の B も同様に削除。高密度核物質(重イオン)、短寿命核(e Arena)については、第2期ということでこれも削除。一方、反陽子(第1期 Phase-2)は追加した。

結果、トピックス(グループ)、および、グループまとめ役として
ν............................................................................ 中家
K ............................................................................ 山中
μ(第1期 Phase 2)................................................. 吉村
Hyperon, Hyper Nuclei .............................................. 田村
Hadron Physics (Medium Effect) ................................ 延與
Hadron Physics (Spectroscopy+Structure Function)..... 初田
反陽子(第1期 Phase 2)........................................... 櫻井
が決まった。後の分担者の振り分けは委員長一任となった。

Q:これらについて評価項目、書くべき事は?
A:前回の今井氏の示した Criteria が参考になる。
C: ●どういう実験があるか?
  ●Grand View の中での位置付け(10年後の物理にどういうインパクトがあるか?)。
  ●世界の中で位置付け
  ●feasibility
  ●スケジュール
C:金さん提案のテーブルも用意しなくては行けない。
C:人の数は国内と国外に分けて書くべき。
Q:仕上がり予定は?
A:次回は議論、次々回には文章化する。
評価項目、書くべき事などについては、委員長が整理し、メーリングリストで配付する。それをもとにサブグループリーダーが次回までに叩き台を作ってくる事。

Q:最後に聞いておきたいのだが、実験室は第1期 Phase 1 で何ができるのか?
A:1.8 GeV ビームラインを作って2つ実験場所を作る方向で進んでいる。


4. 次回
上記のように、次回までに、サブグループリーダーは、議論の叩き台を作ってくること。次回は、それをもとに、具体的な作業に入る。

次回の日程:6月中旬ということでメールで日程調整する。