第10回素粒子原子核研究計画委員会議事録(案)


日時:平成14年10月25日(金)10:30〜

場所:KEK
出席:
所内委員:
岡田、藤井、吉村、宮武
所外委員:
金(筑波大)、中家(京大)、山中(阪大)、櫻井(東大)、田村(東北大)、 野尻(京大)
非委員:

1. 前回議事録案の承認

前回の議事録案が承認された。最終版については本委員会のページ参照のこと。

2. Grand View 部分の議論

今回の課題は、答申本文の原稿について大きな問題を出し尽くすこと。基本的に答申本文に関する会合は今回を最後とする。

はじめに、Grand View について、岡田、桜井、藤井の用意した叩き台をもとに次のような議論があった。

Q:Grand View について大きなところから?
C:必要か不要かという問題。
A:原子核の方は読んで面白かった(ある素粒子の委員)。
C:他分野から見ると意義があるということだ。
C:基本的に書かれているべきことは、分野の定義(目的)、現在の到達点、現在の重要課題と今後の展望、アプローチの方法、JHF 以外の内外の計画の位置づけ、JHF の位置づけ、果たす役割。
C:素粒子と原子核で書き方のスタイルがずいぶん違う。
Q:原子核の方は、他の計画について書かれていないが?
A:意図的に書かなかった面もある。素粒子の場合、課題と計画、施設がわりと一対一対応するが、原子核の場合は、小さなものから大きなものまで様々で、とても書ききれない部分がある。
C:JHF の位置づけをするという観点からすると、やはり少しは書かれていた方が良いのでは?
A:実験について書くことは必要かもしれない。
Q:まとめのはじめの部分との対応でいうと、エネルギーフロンティアと高輝度フロンティアの対比についても書かれているべきではないか?
A:2.3 の部分で書けば良い。
Q:必要か不要かという意味では必要ということで良いか?
A:あった方が良い。
C:Grand View のはじめの部分は、ほとんど、まとめの冒頭の繰り返し。
C:Executive Summary 部分とは、独立のものとすることを想定していた。いっしょにするならば再考の余地がある。
C:繰り返しは実験の部分にもある。Executive Summary との区切りがはっきりしていれば良い。
C:タイトルの "Grand View" というのはかえた方が良い。
Q:どう変えるのか?
A:例えば「素粒子・原子核物理学の全体像と JHF」とか。

Q:Grand View は書くということで意見が一致したので、次は、叩き台についてもう少し細かい点でどうか?
C:冒頭に「宇宙」という言葉がたくさん出過では?
C:「宇宙」を「自然」とかにしたらどうか。
C:冒頭の「これらの疑問に答えるのは...重要な課題である」は弱すぎるのではないか。
Q:トップの発見で3世代構造が明らかになったというのは適切か?
A:レプトンとクォークが、2重項で3世代という全体としての物質粒子の多重項構造が確立したということ。
C:「明らかになった」を「確立した」にする。
Q:νと高エネルギースケールとのつながりの部分の論理が分かりにくい。
A:シーソー機構などが背景にあるわけだが、シーソーに特定したくなかった。
Q:マヨナラについては書かなくて良いのか?
A:細かすぎる。
Q:CPT については?
A:素粒子実験のフロンティア 4 に含まれる。
C:ダークマター、アキシオンについても触れなかったが、ダークマターくらいは入れた方が良いかもしれない。

Q:次、原子核についてはどうか?
Q:今の書き方だと、「3つの柱」と「宇宙・天文」の2本立てに見えてしまうが?
Q:最後の部分も、宇宙・天文が最終目標とも見える。
A:もともと、格を下げるつもりで、箇条書きから外したが逆効果だったかもしれない。1‾3をもっと持ち上げる方向で考える。
Q:反陽子ヘリウム原子は原子核というより原子物理なのでは?
A:そうだが、3体、反陽子を入れたかったので。
C:やはり強い相互作用ということに限った方が良い。
C:反陽子は 2.3 で書けば良い。
C:「21 世紀」が多すぎる。
Q:超重元素が入っていないのはなぜか?
A:現象でなく生成の問題なので入れなかった。
C:超重元素を入れる。

Q:次、2.3 の部分については?素粒子の部分のみ、原子核は出てきてから。
C:K2K を入れる。
C:「世界のセンター」という言葉をいれる。
C:途中の「我国」をとり、最後で我国について述べる。
C:「JHF での素粒子実験は、Tevatron、LHC、リニアコライダー...」は誤解を与える。
C:世界の中での役割分担でなく、日本が、分野の重要課題についてどう取り組むかを言いたかったが、誤解されないように、修正する。
C:章立てだが、1. Executive Summary、2. Grand View、3. 各実験プログラムとする。

 

3. 各研究プログラム部分の議論

次に、各研究プログラムについて編集委員会(延與、野尻、初田、山中)の原稿をもとに次のような議論があった。

3-1) 各実験プログラムの部分

Q:数 MW は本当に「計画」されているのか?
A:「検討されている」にする。

3-2) ニュートリノ

Q:冒頭部分、「理論的予想値に比べて...」、はまわりくどいのでは?
A:事象数の食い違いだけでなく、ν振動を本当に確立するのは、長基線ニュートリノ実験という意味をこめたつもり。
C:最後のパラグラフで「極めて」が2度出てくる。
C:マヨラナ CP 位相と、湯川の CP 位相はちゃんと区別すべき。
C:CP の破れについて「実現のめどは立っていない」というのは、ちょと否定的すぎるのではないか?
C:2βでマヨラナ位相ができるというのはちょと問題。効果が見えるだけ。
C:p15 の「日本以外でこの実験が実現できる可能性はほとんど無い」はとる。
C:すぐ下の「感度が落ちるが競合する実験」の「感度が落ちるが」も不要。

3-3) K

Q:最初のパラグラフで、K の場合も、「宇宙の粒子・反粒子の数の非対称性...、CP」 とあるが?
A:まあ良いのでは。
Q:同じパラグラフで「これから数年で、...明らかになるであろう」とあるが、CP 非保存の主たる原因が、KM 位相であることは、すでに明らかになっているのでは?
A:おそらく書いたのが ICHEP の前だったのでそういう表現になったのかもしれない。直す。
C:5.4.1 の最後の部分で、「第2期」を「100 事象」の前に持っていく。
Q:T-violation について、はじめに 10^{-6}(SM)と言っておいて、実験のところで 5×10^{-4} となっているが?
A:標準理論からのバックグラウンドのない、Beyond the SM の探索を問題にしている。10^{-4} 程度を出すモデルは存在する。
C:段階的に感度を上げていくことが望ましい。
C:snowmass year は分かりにくい。
C:〜日と書く。
C:K^0 --> π^0 ννに関する 1st obsrevation の可能性をもっと強調すべき。

3-4) μ

C:「2重極」はあまり聞いたことがない。「双極子」にする。
C :LFVは、標準理論にはない。シーソーν模型でも極めて小さい(‾10^{-40})。
Q:EDM は中性子に勝てるのか?
A:同程度。
C:質量でスケールするとすると、n と e とで見えなければμでも見えない。ただし、質量でスケールするとは限らない。
Q:工学利用は書かれているもので全てなのか?
A:PRISM でできるものに限定し、例えば μSR はのぞいてある。
Q :μCF が、工学利用の筆頭にあるのはどういうことか?
A:後にもっていってもよい。
C:μ- がたくさんあるのが売り。
C:6.3.2 の表題は「フレーバーの破れの実験」ではなく「フレーバーの破れの探索実験」とすべき。
C:μ-e conversion の表記法がまちまち。μN -> eN と書いた方が良い。
C:崩壊チャンネルという言い方は分かりにくい。
C:g-2 は gー2 とか。表記法統一。

3-5) ストレンジネス

C:7.1 の最後の「中性子星などに代表される」はとる。
C:他と比べて辛口の部分が少ないのでは?
C:p28 の 7.2 の数10倍から数100倍は、もっとちゃんと書くべき。
C:正確には、KEK PS のπの数100倍、BNL AGS の K の数10倍。
Q:ここだけ量子色力学となっているが?
A:QCD に統一。
Q:表中の「将来は専用のスペクトロメータ導入」は説明が必要。

3-6) ハドロン

C:p38 第4パラグラフは分かりにくい。
C:山中委員長が直す。

C:測定器が あるのだから、やれるのならやった方が良いというニュアンス。
C:その下の2つのパラグラフは 2.3 に持っていく。
C:全体は野尻委員が見る。

3-7) 反陽子

C:野尻委員が直す。
改訂の分担は:

3-8) 実験施設

Q:どこに入れるのか?
A:付録。
C:図3、図4は図1にスケールアップして統一する。
C:実験施設の名称も分かるようにする。
C:2期の拡張も。

4. 今後の予定