2021年02月12日10:00-
トポロジカル相と部分転置
笠 真生 氏
(Department of Physics, Princeton University)
アブストラクト:
量子多体系では、古典系との類似を持たない様々な創発的な現象が実現されうる。通常の自発的対称性の破れで特徴づけられない、トポロジカル相はその一例である。本講演では、部分転置とよばれる量子情報理論で使われる操作を使って、トポロジカル相の様々な性質を議論する。一例として、部分転置を使って時間反転対称性で保護されたトポロジカル相(トポロジカル絶縁体など)のトポロジカル不変量を構成できることを示す。この不変量は、よく議論される自由電子系(バンド理論)におけるトポロジカル不変量(例えばKane-Meleによるもの)とは異なり、相互作用がある系にも適用される。部分転置は、また、エンタングルメントネガティビティと呼ばれる混合状態に対する量子もつれの測度の構成にも使うことができる。講演では、トポロジカル相に存在する準粒子であるエニオンの性質を、エンタングルメントネガティビティを使って議論する。