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課題:『p, sdシェル領域のΛハイパー核構造』
 1.講演者 木村 真明(北海道大学)    演題 「p, sdシェル領域のΛハイパー核構造」    概要:      ハイパー核を研究する動機として、YN相互作用の解明とバリオン    多体系の構造解明を挙げることが出来る。後者に関しては、80年代から    先駆的な研究が行なわれ、9ΛBeのhypergenuine状態、7ΛLiでのクラスター    間距離の収縮などがその代表例である。前者に関しては、90年代以降の    γ分光実験、精密計算法の確立などにより、特にΛN相互作用の多くが    明らかにされている。現在、J-PARCの稼働開始に伴い、ハイパー核研究は    より多種多様な核の研究、S=-2セクターの探索など、その対象を大幅に    広げつつある。     こうしたこれまでの成果やJ-PARCは、バリオン多体系としてのハイパー核    自身の構造の面白さに主眼を置いた研究を系統的且つ定量的に行う事を可能    にしつつある。そこで、我々は、通常核の構造研究において成果を上げてきた    反対称化分子動力学(AMD)をハイパー核研究へと拡張し、ハイパー核の構造、    特にハイペロンが引き起こす原子核の構造変化に着眼した研究を行なっている。     本公演では、研究の結果得られた、21ΛNeでの構造の変化や、中性子過剰    Be同位体でのパリティの再逆転など、Λ粒子が引き起こす特徴的な現象を    中心に紹介する。  2.講演者 小池 武志(東北大学)    演題 「sd殻ラムダハイパー核のγ線分光」    概要:      超精密ハイパー核γ線分光実験は1998年のHyperballの完成により     幕が開けられ、これまでp殻ラムダハイパー核が系統的に研究されてきた。     J-PARCでは、新たにHyperball-Jを建設し、最初のハイパー核γ線分光実験     E13に向けて準備が進められている。この実験で調べられるハイパー核の     一つに19ΛFがあり、初のsd殻ハイパー殻のγ線分光となる。     ハイパー核γ線分光の関心の一つに、ラムダ粒子が不純物としてもたらす     原子核全体の変化がある。sd殻領域は質量数が大きくなる分、p殻に比べて、     ラムダ粒子を不純物とする描像があてはまる。コア核となるsd殻原子核は     質量数が20から40程度の中重核で、その多くは基底状態(真空)で     変形しており、低励起のエネルギー準位は振動や回転といったような     集団運動的な様相を呈している。     ラムダ粒子が混入することで、コア核の真空がどのように変化しうるのかを     最近の東北大グループの平均場計算の結果をふまえて考察し、J-PARCで     可能なγ線分光実験を提案し、議論する。