量子もつれや量子測定など量子論の基礎に関する深い理解は、今後の量子情報科学の本格的な進展にとって重要であるだけでなく、21世紀の物理学全体の発展の鍵になるものと考えられています。本研究会(QMKEKシリーズ)は、量子論の基礎に関する近年の話題の議論を通して、長期的観点から量子論及び関連する物理学の将来の発展を考える機会を提供するために隔年で開催しているもので、今回で6回目、ちょうど十年目を迎えます。 今回は特に、弱値・弱測定、エンタングルメント、一般確率論と情報理論、マクロ量子系の統計物理学、量子系の熱力学、計算と量子、重力と量子情報に関する、基本的でかつ将来の発展が期待される最近の話題を集めました。さらにこれらの話題に関連して、素粒子・原子核、量子情報、物性、宇宙、量子基礎論など広い分野からのポスター発表を企画していますので、興味ある研究者や学生など多くの皆様のご参加をお待ちしています。
● 講演(50音順・敬称略:題目は仮題を含む)木村 元 (芝浦工大) | エントロピーとHolevo限界 |
沙川貴大 (東大工) | 熱的な量子純粋状態におけるゆらぎの定理 |
清水 明 (東大教養) | マクロ量子系のゆらぎ測定と揺動散逸定理の量子破綻 |
須佐友紀 (東工大) | 弱測定による仮説検定 |
谷村省吾 (名大) | 2015年の「ベル不等式の破れの検証実験」について |
沼澤宙朗 (京大基研) | AdS/CFT対応における量子情報計量の重力双対 |
長谷川祐司 (ウィーン工科大) | 弱値を用いた量子ダイナミックスの可観測性 |
藤井啓祐 (京大理) | 事後選別に基づく古典計算と量子計算の境界 |
堀田昌寛 (東北大) | ブラックホール蒸発過程における量子情報 |
松井 卓 (九大数理) | 1+1次元量子スピン系における弱統計的独立性 |
森 貴司 (東大理) | 周期外場によって駆動された量子多体系の準定常性 |
森 立平 (東工大) | 一般確率論と計算複雑性 |
森越文明 (NTT物性基礎研) | 光円錐におけるエンタングルメントの類似構造 |
李 宰河 (東大理) | 弱値の基礎にある擬確率と不確定性関係 | 若桑江友里 (電通大) | 情報因果律について |
● ポスター
量子論の基礎や、広い意味でこれに関連するトピックのポスター発表を募集します。ご希望の方は、以下の参加申込書に必要事項をご記入ください。
● 旅費補助
発表の有無にかかわらず、財源の範囲で参加者への旅費補助が可能ですので、旅費補助をご希望の方は、早めにお申し込みください。
● 参加申込み
本研究会に参加ご希望の方は、 参加申込書 にご記入の上、emailにてKEK理論センター秘書 櫻井 美知代 までお送りください。締切は2月5日(金)です。
世話人: 木村 元(芝浦工大)、 沙川貴大(東大工)、 清水 明(東大教養)、 谷村省吾(名大)、 筒井 泉(KEK)、 藤井啓祐(京大理)、 細谷暁夫(東工大)、 堀田昌寛(東北大) |