課題:『6ΛH及び中性子過剰Λハイパー核』
1.講演者 阪口 篤志 (大阪大学)
演題 「中性子過剰ラムダハイパー核の生成:実験的研究の背景・経緯・現状」
概要:
ラムダハイパー核は通常の原子核と同じように多様な核構造を持つ
ことがこれまでの研究で分かってきています。更にラムダハイペロ
ンの glue-like roleと呼ばれる効果を考慮すれば、安定なラムダ
ハイパー核の広がりは通常原子核以上に広いと予想されています。
このようなラムダハイパー核の多様さや安定性を見るには、中性子
ドリップラインに近い中性子過剰ラムダハイパー核の研究が不可欠
です。理論面ではかなり以前から中性子過剰ラムダハイパー核の性
質やその生成可能性について議論があります。その一方で実験的研
究は技術的な困難がありそれほど進んでいるわけではありませんが、
近年ようやく中性子過剰ラムダハイパー核の生成に手が届きつつあ
ります。講演では中性子過剰ラムダハイパー核の生成に関連する実
験的研究の背景と経緯についてお話しするとともに、最近進んでい
る中性子ドリップライン近傍のラムダハイパー核6ΛHの生成を試み
る実験の現状について議論したいと思います。
2.講演者 赤石 義紀 (日本大学/理研)
演題 「中性子過剰核6ΛH, 5ΛΛHにおけるYN, YNN, YYN有効相互作用」
概要:
最近話題になっている6ΛHの束縛のメカニズムを追究することに
よって、中性子過剰核特有の3体力効果を明らかにする。この効果
は、ΛとΣが相互に転移する平均場を用いて記述できる。この新し
い型の平均場は、中性子過剰のハイパー核に通常のハイパー核には
ない際立った特質をもたらす。6ΛHで当面する課題について議論す
る。
次に、二重ハイパー核5ΛΛHを取り上げる。ここでのテーマは「Λ
Λ有効相互作用は、中性子物質中とN=Z核物質中で同じか?」である。
中性子星中でのYY相互作用を知るために、5ΛΛHの実験データが欠か
せないことを示す。